野いちご源氏物語 四七 総角(あげまき)

年の暮れというのはどこでも天気が荒れがちになる。
もちろん宇治(うじ)も雪が降りしきって積もっていく。
そんなところでぼんやりとお暮らしになっていると、(かおる)(きみ)は悪い夢を見ているような気がなさる。
それでも月日は流れていて、ご法要(ほうよう)もひと段落するころだろうと、匂宮(におうのみや)様から立派なお見舞いが届いた。

<亡くなってから三十日が過ぎれば、ひと段落ということになる。これ以上ここに(こも)っているわけにもいかない。(みかど)をはじめ、上皇(じょうこう)様や母宮(ははみや)様からも早く帰ってくるようにと(おお)せがあった。帰るしかないけれど、なんという悲しい出発だ>
山荘(さんそう)(とど)まっておられても(むな)しいけれど、都へお帰りになるのはもっとおつらい。

女房(にょうぼう)たちも悲しんでいる。
大君(おおいぎみ)がお亡くなりになったときは、大騒ぎで悲しみも多少(まぎ)れたのよね。
でも、薫の君が家来たちを連れて都にお帰りになる悲しみは、何でも紛らわせることができない。
薫の君はひと月以上山荘にいらっしゃったから、女房たちはすっかり主人のようにお仕えして、思いやり深いお人柄(ひとがら)に感動していたの。
それも今日で最後かと涙を流している。