ロマンスに、キス




帰り道、駅で佐野の姿を見かけることもなく、電車に揺られながらぼーっと座っている。

胸の奥にぽっかりと穴が開いたような、虚しい気持ち。


なんで、素直になれないんだろう。



家の最寄り駅について、なんとなくコンビニに立ち寄る。
目に留まったのは、飴のコーナー。



あのミントののど飴。



コンビニ限定、と書いてあった。

だから、見かけなかったんだ。



…あたし、まだこれ、食べてないんだよね。



胸の奥がギュッと締めつけられて、ポロポロと涙があふれだす。


止まらない。
最悪だ、ほんとに。



店員さんに「体調悪い?大丈夫?」と心配されたけれど、それでも涙は止まらなかった。


佐野にもらった飴はまだ残っているのに、まだ味わっていないのに、馬鹿みたいに手に取って、レジに持っていく。



コンビニを出ると、また涙が溢れて止まらない。
冷たい夜風が頬を撫でるたびに、鼻の奥がツンと痛む。



帰り道、買った飴を舐めてみたけど、やっぱり思った通り、不味かった。