「佐野、あたし、世界一かわいい?」
顔を上げると、佐野はいつもの無愛想な顔で見下ろすけれど、その目は少し優しく光っていた。
「うん」
「ほんとに?ちゃんと言って」
すると佐野は、少し間を置いてから、面倒くさそうに口を開く。
「かわいーかわいー」
むすっとした顔で、佐野の腕の中から見上げれば、はは、と笑いながらまた唇を重ねてくる。
好きだよ、と、耳元で、低く囁かれたその言葉に、あたしの心は毎回同じ速度で跳ねる。
何度だって聞きたい、何度だって言ってほしい。
もちろん、こんなことを言ったらきっと、舌打ちされて、面倒くさそうな顔をされる。
でも、それでもいい。
その無骨な態度の裏に、確かにあたしを甘やかしてくれる優しさがあるのがわかるから。
ずっと、好きでいて。
いつまでも、こうして抱きしめていて。
何度だって、喧嘩して泣いて笑って、でも最後にはこうして手をつないで、唇を重ねて。
ロマンティックじゃなくても、
くだらなくても、
何度だって、そんなキスをしていようよ。



