「……その、ね。いつもすました顔してるくせに、泣くと素直になんの。そこも、グッとくるわ」
佐野はあたしの首に手を回して、ぐっと引き寄せる。
そのまま、唇が重なった。
顔を合わせればいつも小さな喧嘩ばかりなのに、最後にはちゃんと素直にさせてくれる――そんな佐野が、あたしは好きだった。
思わず、あたしも首に腕を回す。
「積極的」と少し笑いながら言われるけれど、気にしない。
「そういや、あののど飴舐めたよ」
「それ、今言うことかよ」
「今言うことだよ」
「どうだった?」
「初めてあんなにまずいの舐めたよ」
「でも、癖になるだろ?癖になるほど食べてねーか」
「…ん」
素直になれないし、可愛くいさせてくれない。
でも、佐野といるときの自分が、一番自然で、一番好きだ。
やっと、あたしと佐野は安心できる位置に落ち着いた。
あたしは、佐野に見返りなく甘やかされ、大切にされる権利をもらった。
背伸びをした恋愛なんて、私たちには向いていない。
だけど、佐野となら、これがちょうどいい。
ありのままの自分で笑えて、泣けて、喧嘩もして、でも最後にはちゃんと受け止めてもらえる。
これからも、ずっと――
佐野とこんな風に過ごしていけたらいいな、と思う。



