【完】ロマンスに、キス




「遊んでばっかの佐野と一緒にしないで!」



思わず声が大きくなってしまう。

声に混じった震えに、自分でも驚く。


こんなことを言いたいんじゃない。

こんなことじゃ、ないんだって。



「遊んでないって。しかも、それ、今関係ねーよ」


「関係ある!あたしには…関係あるもんっ!」



言いながら、胸の奥の熱がぐっと込み上げて、抑えきれなくなる。


関係あるよ。ない、なんて、絶対に言わないでほしい。


過去のことなんて、どうにもならないって分かってる。

こいつが、ちゃんとあたしのことを好きだって言ったこと。今までの女とは違う、って言ったこと。

それを信じてるからこそ、こんなにムキになってるんだ。



「わかった、わかった。喧嘩やめよ」


「…っ」



甘やかして、甘やかして、甘やかしてほしい。

全部、わかってほしい。

あたしが弱くて、守られたくて、でも素直になれないことを、全部。



気づいたら、ポロポロと涙がこぼれていた。

悔しさも、もどかしさも、全部入り混じって、止まらない。



そんなあたしを見て、佐野は腕をぐっと引っ張った。

無理やり、でも優しく、正面に座らせる。



顔が、近い。

胸がぶつかるくらい近くて、呼吸がぶつかる。

あたしの視界は、佐野の目だけに集中する。