結局、あの不名誉な噂は、またしても一週間もしないうちに、何事もなかったみたいに消えていった。
最初はあからさまに距離を置いていたクラスメイトたちも、今ではすっかり元通りで、朝は笑顔で挨拶してくる。
もう別に、これ以上ほかの人にいい顔をする理由なんてないはずなのに、気づけばあたしはまた、いつもの笑顔を貼りつけていた。
天使のままでいたほうが、やっぱり何かと便利だな、なんて思ってしまう自分がいる。
結局のところ、世間は「外見よりも内面が大事」なんて綺麗ごとを言うけれど、実際はその“内面”が少しでも欠けていたら、すぐに人を邪魔者扱いする。
優しくて、気が利いて、感じがよくて。
それができないあたしなんて、きっと一瞬で居場所をなくすんだろう。
天使でいるのは、正直言って疲れる。
言いたいことを飲み込んで、嫌なことも笑って流して、傷ついても平気なふりをする。
それでも、そうしていないと、あたしはここで生きていけない。
そして何より、みんなは“そういうあたし”を求めている。
じゃあ――
あたし自身の気持ちは、いったいどこに置けばいいんだろう。
そんなことを考えて、胸の奥がきゅっと痛くなる瞬間もあった。
でも今は、あたしをちゃんと見てくれる人がいる。
かわいいだけのあたしじゃなくて、取り繕ってないあたしを知っている人が。
だから、もう悲しくなんてない。
誰にも愛されずに、このまま静かに死んでいくんだろうな、なんて思っていたのに。



