【完】ロマンスに、キス




「じゃあ、佐野。あたしのこと、かわいい?」



そう聞くと、佐野は呆れた顔をして、なんの時間だよ、これ、って言いながら、ようやくあたしの隣に腰を下ろした。


お弁当袋からお弁当を取り出して、何食わぬ顔で食べ始める佐野。
つい、じっと見つめてしまう。


すると、また舌打ちして、



「それ毎日聞いてくんの、なんなの?」



……だって、聞きたいんだもん。

佐野に言われたいんだもん。



「……さ、佐野に、かわいいって言われるのが……たぶん、いちばん嬉しいから」



思わず顔が熱くなって、消えてしまいたいくらい恥ずかしい。

でも、どうしようもなく、気持ちが溢れてしまう。


勇気を出して、佐野の肩をぎゅっと掴むと、



「なんなの、それ」



って、また言う。


言わなきゃよかったかも……

そう思った次の瞬間には、もう唇が重なっていた。


世界が一瞬、止まったみたいで、けれど熱くて、甘くて。


佐野の唇は、柔らかくて、少しだけ意地悪だ。


そして、どうしようもなく、嬉しくて、悔しくて、愛おしい。