【完】ロマンスに、キス




滝みたいに流れてくる涙を止める術なんて、あたしにはない。

止まってよ、と思えば思うほど、どんどん止まらなくなる。


佐野はあたしを見て、優しいけれど、少し呆れた、しょうがねーなって顔をした。



「…泣いてても、かわいいよ」



そんなわけ、あるはずないのに。

佐野は、いつもかわいくないときに、そう言う。

意味が分からない。どうかしてる。



「うそだっ…」


「嘘じゃねーよ。顔はタイプだし、男みてーな性格もいいなって思うし、猫っぽいところも、なんだかんだ好き」



――余計、訳が分からなくなるし、猫はそっちだ。


胸がギュッと締め付けられて、頭も心もぐちゃぐちゃだ。



「前、あたしのこと童顔って、言った…!」


「だから、童顔が好きだって」


「なに、それ…うれしくないっ…」



ほんと、全然嬉しくなんてない。

でも、佐野の優しい顔を見ていると、素直にそう思わざるをえない。

この人、本当に、ほんとの、ほんとに、ちゃんとあたしのこと、好きなんだ。