【完】ロマンスに、キス




「…佐野だって…!佐野だってそうじゃん!好きだって、一言も言ってくれない!」



思わず声が震える。



「そんなん言わなくても分かんだろ」


「…わかんないよ!あたし、彼氏いたことないもん!こんな気持ちになるのも、佐野が初めてなんだから!佐野の前では、かわいくいたいのにっ……!」



泣きそうになるのを必死にこらえる。

別に、喧嘩をしたいわけじゃない。

合コンだって、困っていたから仕方なくついてきただけで、佐野以外の男なんて、どうでもいい。



ちょっとくらい、佐野が焦ればいい――

ただそれだけだったのに。



佐野に、好きって言ってほしかった。付き合ってって言ってほしかった。



でも、現実は違う。

佐野の前では、かわいくいられなくて、「かわいいあたし」を許してくれなくて、いつも、泣きたくなる。