まあまあの期間、こういうことをしていなかったから、正直疲れる。
佐野といるようになってからは、ほかの男と会うことなんてほとんどなくなったし、正直、どうでもよかった。
コウキくんだって、顔は確かにタイプだと思う。
でも、佐野と比べると、何倍もかっこよく見えるわけじゃない。
もともと佐野はあたしの好みの顔というのもあるけれど、今はそこに感情のフィルターがかかっている分、相乗効果で余計にかっこよく見えてしまっているのかもしれない。
……疲れたな、帰りたいかも。
前のあたしだったら、絶対にこんなこと思わなかった。
ちょっとした駆け引きくらいで、疲れるなんて考えもしなかった。
部屋に戻ろうとして、ふと振り返ったときだった。
目の前のドアが開き、背の高い影が差し込む。
……思わず息が止まった。
「一千華?」
佐野だ。
なんで、ここに……。
「あ、なにしてるの」
声が少し強ばってしまう。
「は?カラオケだけど」
「誰と?」
まさか……女?



