目を開けたままのあたしは、頭がついていかなくて、唇が離れて、やっと、何が起きたのか理解した。
……顔が、急激に熱くなる。
ほてるとか、そんな生易しいものじゃなく、全身の血が一気に流れ込む感じ。
そんなあたしを見て、佐野はフッと、あざとく笑った。
「な?可愛いだろ」
「お、おまえ……頭おかしいんじゃねーの」
宮原の言ってたことが、今になってようやく腑に落ちる。
頭がおかしい、佐野が。
「誑かしてんの、こいつじゃなくて、俺のほうな」
「なっ……」
心外だ。
あたしは、いつだって、佐野に誑かされたつもりなんて一切ない。
なのに、佐野はそう言って、あたしの顔を見て楽しそうに笑っている。
「こいつ、俺のこと好きで仕方ないんだわ。こいつに振られたからって、いつまでもネチネチとストーカーしてんなよ」
宮原は、言葉を聞いて、顔を真っ赤にしたまま、その場から行ってしまった。



