駅に着くと、放課後の人だかりに一気にもまれた。
気を抜いた瞬間、肩に、軽く触れるものがあった。
顔を上げると、佐野が隣にいる。
さっきまで後ろを歩いていたのに、いつの間に。
「今日、どこ行くの?」
「百貨店」
「なんで?」
「姉貴に新作コスメ。予約したの受け取ってきてって言われたんだよ」
「……お姉ちゃんいるの?」
「ん。だから、教えて。行ったことないし。お前、いつもちゃんとメイクしてんじゃん。見るだけでも好きかなと思って」
「……ふーん」
また、素っ気ない返事しかできない。
でも、胸の奥では、へえ、なんて声が出てる。
案外、あたしのことも考えてくれてたんだ。
なるほど?
そういうところ、あるんだ?
気づいたら、口元が緩んでいた。
「なに笑ってんの」
怪訝そうな佐野の声。
「別に~?」
ごまかすように、鼻歌をひとつ。



