それから更に二日後になると、美波は病室から出るのを許され、病棟内なら自由に歩き回れるようになった。まだ傷口は痛むものの我慢できる程度だ。
そこで、退屈なので運動も兼ねて病棟内を探検してみた。だが、すぐに自分の病室のある高層階に戻ってきてしまった。
(みんな……結構お見舞いが来ていたな……)
一階にあるカフェで軽症の患者が家族とお茶をしていたり、ロビーや中庭のベンチで友人と談笑していたり。
そのように仲の良さを見せ付けられると、最低限の生活の面倒以外両親にほとんど無視され、独りぼっちでいる自分が悲しくなった。
「……?」
病室に入ろうとして立ち止まる。隣部屋のドアが開いている。
閉め忘れたのなら代わりにやろうとして、中に誰もいないのに気付いた。しかも、ベッドの布団もシーツもぐちゃぐちゃになっている。
「えっ……」
翔はどこに行ってしまったのだろう。
診察室や処置室に行ったのだったら、付き添いの看護師が閉め忘れるはずがない。家族や友人が見舞いに来て、一緒に出かけたのだとしても、ベッドをこんな状態のままにしておくものだろうか。
不吉な予感に駆られる。
(看護師さんに連絡した方がいいんじゃ……)
その時、外からカランカランと何かが落ちた音がした。何事かと廊下の下り階段近くを見て驚く。
背の高い青年が床に両手両脚をつき、低い声で唸っていたのだ。左右に松葉杖が転がっており、転んだのだとわかった。
「大丈夫ですか⁉」
慌てて駆け寄り青年の顔を覗き込む。
両目に医療用の眼帯をした、パジャマ姿の背の高い青年だった。目を隠されているのに、顔立ちが整っているとわかる。そして、長い右足にはギプスをはめていた。
その特徴的な格好から、すぐに翔なのだと判断できた。
(この人が……)
そこで、退屈なので運動も兼ねて病棟内を探検してみた。だが、すぐに自分の病室のある高層階に戻ってきてしまった。
(みんな……結構お見舞いが来ていたな……)
一階にあるカフェで軽症の患者が家族とお茶をしていたり、ロビーや中庭のベンチで友人と談笑していたり。
そのように仲の良さを見せ付けられると、最低限の生活の面倒以外両親にほとんど無視され、独りぼっちでいる自分が悲しくなった。
「……?」
病室に入ろうとして立ち止まる。隣部屋のドアが開いている。
閉め忘れたのなら代わりにやろうとして、中に誰もいないのに気付いた。しかも、ベッドの布団もシーツもぐちゃぐちゃになっている。
「えっ……」
翔はどこに行ってしまったのだろう。
診察室や処置室に行ったのだったら、付き添いの看護師が閉め忘れるはずがない。家族や友人が見舞いに来て、一緒に出かけたのだとしても、ベッドをこんな状態のままにしておくものだろうか。
不吉な予感に駆られる。
(看護師さんに連絡した方がいいんじゃ……)
その時、外からカランカランと何かが落ちた音がした。何事かと廊下の下り階段近くを見て驚く。
背の高い青年が床に両手両脚をつき、低い声で唸っていたのだ。左右に松葉杖が転がっており、転んだのだとわかった。
「大丈夫ですか⁉」
慌てて駆け寄り青年の顔を覗き込む。
両目に医療用の眼帯をした、パジャマ姿の背の高い青年だった。目を隠されているのに、顔立ちが整っているとわかる。そして、長い右足にはギプスをはめていた。
その特徴的な格好から、すぐに翔なのだと判断できた。
(この人が……)

