冬の光にヴェールは要らない

例え大丈夫じゃなくても今は落ち着いて、私。

杏香が驚いてしまう。

「万桜?」

急に静かになった私に杏香が不思議そうにしている。

電話で顔が見えないとはいえ、不審がられている。
 
電話だから声だけ元気を装えれば良い。

なのに上手く明るい声を出せる気がしない。

今まで嘘をつくことも、自分が最低なことも慣れていたのに、どうして今日はこんなに不安定になってしまうの。
 
流したい訳じゃない壮矢の別の言葉が頭に流れた。

『万桜は優しいんだよ、絶対に』

そんな訳ない

。分かっていたのに、あの言葉をかけられた時、私は安心した。