冬の光にヴェールは要らない

そんなことを考えていて、何も話さない私に壮矢が声をかけた。

「万桜さ、僕のこと嫌い?」

「え?」

突然の壮矢からの質問に戸惑ってしまう。

そんな私の気持ちを壮矢は表情から()み取ったようだった。

「いや、聞きたくてさ。何でそんなに僕たちから離れたがるのか。拓人がいない今しか聞けないから」

そんな壮矢の言葉に他の人なら、答えてしまうだろう。

それ位、壮矢は私と真摯に向き合ってくれている。
 
それでも、本心に踏み込まれることが怖くて堪らない。

いくら壮矢が「嘘つきで良い」と言ってくれても、本心を見せる勇気などなかった。口篭(くちごも)った私を見て、壮矢はまた口を開いた。

「拓人がさ、今日ここに来れなくて悔しがってたんだよね。いつも母さんと居られる時は嬉しそうにしているのに。きっと万桜のことが大好きなんだよ」

その言葉に思わず、私は壮矢に顔を向けてしまう。