冬の光にヴェールは要らない

放課後に部活をしている様子も、友達と遊んでいる様子も見たことがない。

「中学の時に校内で話した時も良いやつだったけど、どこか一線引かれててさ。藤山さんが仲良さそうでびっくりしたっていうか、安心した。藤山さんは笹原と仲良いのに、悪い言い方してごめんな」

木谷くんは悪い言い方と言っていたが、きっと驚いただけで悪気はないのは伝わっていた。

「ううん、大丈夫。ちょっと気になったんだけれど、壮矢って放課後にすぐに帰る理由をみんなに話していたの？」

「いや？　話してなかったと思う。用事があるのか、俺らと遊びたくないのかどっちか分からなかったし」

勝手に壮矢は好青年な印象が強かったから、人気者だと思っていた。

中学の時も拓人くんを海に連れて行っていたのかもしれないけれど、それすら明かしていなかったなんて。

拓人くんを海に連れていく理由は分からないけれど、両親が忙しくて拓人くんの世話を任されているのかもしれない。

それにしても、なぜ海に連れていくのかは分からないけれど。