冬の光にヴェールは要らない

冬の晴れ間が好きなのは本当。

そして、冬の太陽光が光の結晶のように見えるのが好きなのも本当。
 
一つの嘘があるとすれば、冬の晴れ間の切ない雰囲気が好きなのだ。でも、切ない雰囲気が好きなんて暗いことは明かさない。

「ねぇねぇ、杏香。私ってどの季節っぽい?」

「急にどうした……!?」

「いや、ちょっと気になって」

「うーん、冬かな。万桜の名前に桜って入っているから春と迷ったけれど、万桜のマフラー可愛くて好きだから冬!」

その嘘のない輝いた言葉に狼狽(うろた)えられたら良かったのに。

一切動揺もしない私の可愛くないこと。