冬の光にヴェールは要らない

「万桜、ここの設定ってどうすればいい?」

通話を繋ぎ始めて五分後、杏香は自分のキャラの髪型を決める場面で悩んでいた。

「杏香はいつもポニテだから、ポニテにするんじゃないの?」

「えー、折角だから普段出来ない髪型にしたいなって」

「じゃあ、ツインテは? 見たことないし」

私の言葉で杏香のキャラがツインテに変わる。

「どう? 変じゃない?」

「現実でオシャレした時みたいなこと言うじゃん」

「だって、ゲーム初めてなんだもん」

私が「可愛い可愛い」と二回繰り返して言うと、杏香が「適当じゃん!」と笑っている。