冬の光にヴェールは要らない

高校一年生の冬の時間を過ごしている私は、次の春には杏香とクラスが離れるかもしれないし、二回冬を越せば大学生になっているだろう。

そして、いつかこんなに楽しく話している杏香とも連絡を取らなくなるのだと思う。

 

ごめんね、杏香。友達になったのが私で。

 

性格が悪いキャラクターが嫌われるのではなく、最低なキャラクターが嫌われるのだ。

それを私はよく分かっている。

最低な自分が素を出せば、どれだけ嫌われるかを知っている。

最低な自分は隠して、ラインを引いて、本心には踏み込ませないようにして、私は今日も生きている。
 
冬の晴れ間は短くて、窓の外はもう曇り始めていた。

いつの間にか教室に差していた太陽光も無くなっている。
 
表向きの私は冬の晴れ間が好きで、光の結晶が見えるような冬の光が好き。
 
よく言うでしょう? 嘘には少しだけ真実を混ぜましょう、と。

そうすればさらにバレにくくなる、と。