冬の光にヴェールは要らない

すると青年は先程まで受け取ろうとしなかった紙袋をさっと受け取り、代わりに制服のポケットから取り出したカイロをまた私の手に握らせた。

「もし良ければ」

反射的にカイロを受け取ってしまう。

どうしようかと焦ったが、使い捨てカイロだから良いかとすぐに思い直した。

この青年とこれ以上話していると、また何かありそうで私は無理やり会話を終わらせようと口を開いた。

「今日は拓人くんにも会えて嬉しかったです。この後は用事があるのでそろそろ帰りますね」

そう言って、最後にもう一度拓人くんに挨拶をしに行こうとする私の右手を青年が掴んだ。

「待って下さい」

待ちたくない。

止まりたくない。
 
この青年は何故か危険な感じがする。

これ以上、関わったら私の何かが変わってしまう気がする。

それでも、青年の腕を握る力は思ったよりも強くて、振り解けない。