冬の光にヴェールは要らない

拓人くんは私が会いに来たことがとても嬉しかったようで、先程まで作っていた砂山を私に自慢してくれる。

拓人くんの話が一段落したのを確認してから、私は青年の方へ近寄った。

スクールバッグから紙袋を取り出す。

「お返しします。貸して下さってありがとうございました」

この青年はわざと私に手袋を貸した。

何を考えていたかは分からないが、純粋な気持ちだけではなかっただろう。

だから、このお礼は私なりの精一杯の嫌味だった。

どうせもう会わない。会うつもりもない。

最低な私にはこれくらいの嫌味が合っている。