冬の光にヴェールは要らない

高校に行っている間は昨日と同じでどこかそわそわしたままだった。

それでも放課後に海への道を歩いている今は、逆に落ち着き始めていた。

いつも通っている通学路から、途中で海に向かう道に入っていく。

潮風の匂いはまだしないはずなのに、海に近づいていることを感じる。

景色や思い込みからだろうか。
 
堤防が見え始めると少しだけ心臓が速く動き始める。

今日、海で遊んでいると言われた訳じゃない。

よく海で遊んでいると聞いただけ。

それでも、あの二人が来ている気がしてしまう。

これは予感じゃない、予想だ。

何故かあの兄は私にもう一度会いたがっていた。

ならば、きっとあの日から一番近い晴れた日に来るだろう。

堤防に造られた石の階段を登っても、堤防の頂上まで行けばまた降りるだけだ。

これは堤防を超えるための階段。

それでも堤防の頂上に行けば海は見える。

足は動かそうと思わなくても勝手に動いていく。
 


あの日、私の嫌な予感は外れた。今回は……




「あ、お姉ちゃんだー!」

 


拓人くんの声が今回の私の予想が当たったことを示していた。