冬の光にヴェールは要らない

ホームルームが終わり、一限目に入る。

そして、二限目三限目と時間が進んでいっても、気は晴れないままだった。

それでも今日は雨が降っていて、拓人くんと笹原 壮矢を名乗った青年は海には来れないだろう。

つまり今日は手袋を返しに行かなくて良い。

後回しにしているだけなのに、「今日は返せない」という事実に安心するのだ。
 
もう本当は手袋なんて返しに行きたくない。

それでも、自分のものでない手袋を捨てることなど出来ないし、ずっと持っていなくもない。

早く返して、いつも通りの日常に戻りたい。