次の日は朝から雨が降っている日だった。

気温は氷点下にならずに、雪にもみぞれにもなってくれない。

教室は騒がしくて雨音など聞こえないのに、カーテンのかかっていない窓の外は教室の明るさとは反対に真っ暗な空だった。
 
冬の雨は雪になれなかった落第生みたいだけれど、実際は雪の方が落第生なのかもしれない。

だって、落ちてくる間に凍ってしまうんだから。
 
昨日の晴れた冬の夕日は赤くて綺麗だったのに、今は黒くて昨日の夕日の沈んだ後の海みたい。

昨日の水平線に浮かぶ夕日が頭に浮かぶ。

机の横のフックにかけられているスクールバッグの中には、灰色の手袋が入っている。

いつもと違って手袋の入った小さな紙袋があることが違和感だった。