冬の光にヴェールは要らない

でも、拓人くんとぶつかった場所から交番まで徒歩十五分だった。

しかし、私の嫌な予感は外れることになる。



代わりに予想外の出来事を連れてきて。
 


制服をした青年が水平線の沈みかけた赤い夕日に照らされている。

海岸に立っている青年は、海に入っている様子も今から向かう様子もない。





その青年は夕日に照らされながら、目を(つぶ)り両手を合わせて海に向かって何かを願っていた。





綺麗、だと思ってしまった。
 


よく見ると、願い事をするように両手の指を組んでいる。

私たちが近づいても、青年は気づきもしない。

「お兄ちゃん!」

拓人くんの声に振り向いた青年の頬には涙が伝っていた。