冬の光にヴェールは要らない

その日は快晴という言葉がぴったりだった。

昨日の夜に壮矢にメッセージを送って今日会えるか聞いておいた。
 
いつもより少し早く着いた海辺は、水面が太陽に照らされてキラキラと輝いている。

冬の海にこんなに来ることになるなんて考えてもいなかった。そ

れでも、もう私にとって海は夏じゃなくて冬のイメージに変わっていた。

海を眺めているだけで、砂浜で遊んでいる拓人くんが見えるようだった。

そんな拓人くんを愛おしそうに見ている壮矢の姿も頭に浮かぶ。それくらいこの海はもう冬のイメージで、壮矢と拓人くんのイメージになっていた。

「万桜」

私の名前を呼ぶ声が聞こえて、振り返る。

「壮矢。あれ、拓人くんは?」

「万桜が前日に海で会えるか聞くなんて、何か話したいことがあったんだろ? 今日は拓人は祖父母に見てもらうことにしたよ」

「ごめん、私の相談があったわけじゃなくて……」

「何でも良いよ。僕が万桜が話すことをしっかり聞きたかっただけだから」

あんなに拓人くんを大切にして、一番優先している壮矢が、用事があるからと拓人くんを祖父母預けることは(まれ)だろう。