冬の光にヴェールは要らない

杏香はしばらく何も言わなかった。何と声をかけるか悩んでいるようだった。そ

れでも、次の杏香の言葉には自信がこもっていた。

「嫌われないよ」

「え……?」

「絶対に嫌われない。その人が万桜の悩みを真摯に聞いてくれて勇気をくれていたなら、その人は私と同じで万桜のことが大好きな人だもん!」

人に悩みを相談することも、本心を見せることも怖かったのに、明かしてしまえば杏香はこんなに素敵な言葉をくれる。

「私だって、いま万桜が相談してくれて嬉しかったもん。案外聞いてみたら良いと思う。言いたくなかったら、言いたくないってちゃんと口にしてくれると思う!」

杏香のキャラクターが立ち上がる。

「よし、今日のゲームはここまでにしよ!」

「え?」

「もっといっぱい万桜と喋りたい! 私も相談したいことあるの」

前に杏香の青春を奪っているんじゃないかと心配した時があった。でも、きっと違う。

これを青春と呼ばずして何と呼ぶのだろう。
 
その日はたくさん杏香と話した。通話を終える頃には、壮矢と向き合う覚悟を持っていた。

スマホで明日の天気予報を確認すれば、晴れのマークもついている。空すらも背中を押してくれている気がした。