冬の光にヴェールは要らない

「むしろ万桜しかいないってば。だって、このゲームをやっている友達は万桜しかいないもん」

杏香が私を大切にしてくれている気持ちを前よりずっと素直に受け取れるようになっていた。そんな自分の変化が嬉しくなる。

「それとずっとレストランの開店準備で忙しかったから、今日こそゲーム内のお店を周りに行こ!」

「そんなに時間あるかな?」

「レストランを早めに閉店すれば平気!」

「うわー、ダメな店長だ!」

「店長特権ですー!」

そんな会話をしているうちにチャイムが鳴り、いつも通り授業が始まっていく。

今までと同じ日々、それでも気持ちの変化があれば景色だって変わって見える。

苦手な数学も夜に杏香とゲームを出来ることを楽しみに何とか乗り切る。
 
窓の外を見れば雨が降っていて、今日は海に行けないなと頭をよぎった。

あの海に行くことがもう私の中で当たり前になっているのかもしれない。

今日の放課後は杏香と電話を繋ぐ前に、一人で少しだけゲームでもするかなと雨を見ながら考えていた。