冬の光にヴェールは要らない

「梨実。私ね、あの日の言葉をずっと忘れないくらい傷ついたんだ。梨実が大好きだからだよ。大好きな梨実に言われたから傷ついたの。もう梨実なんて知らない!って思ったはずなのに、連絡先は消せないままだし」

泣きそうだけれど、悔しいから涙を溢すのは我慢してやる。

「きっとね、悔しいけれど、今も梨実が大好きなの」

簡単に諦められるほど簡単な繋がりじゃなかったの。

上辺だけじゃない所で繋がっていたんだと思う。

梨実は涙を溢し続けながら、私をじっと見つめているだけだった。

だから、私から梨実に一歩近づいた。

「許してあげるって言っているの! 嬉しくないの!?」

それは昔のような明るい声。喧嘩別れする前に梨実と話していた頃の声色。
 
梨実が声をあげて泣き出した。

「嬉しいに決まってる。万桜のこと大好きだもんー!」

この歩道橋は人が少ないと言えど、誰も通らないわけじゃない。