冬の光にヴェールは要らない

「その日はいつも通り梨実と帰り道を歩きながら、いつも通りの会話をしていたの。そしたら、急に梨実が立ち止まってこう言ったの。『万桜って友達多いよね』って。『私と違っていっぱい友達がいるよね』って。始め意味が分からなかったけれど、すぐに梨実が友達のことで悩んでいるから出た言葉だって気づいた」

あの日の私は梨実が大好きで、それ以上でも以下でもなかった。だからすぐに梨実を抱きしめた記憶がある。

「何度も繰り返し言ったの。『私は梨実が大好き』『梨実と一緒に居られることが幸せだよ』って。もちろん本心で……その本心を言うことで少しでも梨実が安心してくれれば良いって思ってた。でも、梨実は泣いたままだった。『嘘つき。万桜にはいっぱい友達がいるでしょ』『私は万桜が大好きだけど、万桜は違う』って……それで最後にこう言った」


「なんか万桜の友達って私じゃなくても良さそう」


「私の一番の友達は当たり前に梨実だった。本心も本音も全部明かせるのは梨実だけだった。本当に梨実の言葉の逆だったの。『私の友達は梨実以外いない』ってくらい梨実が大好きだった。同じ部活の子に言えない悩みも、苦しみも、どんな本音も、梨実にだけは明かしていて、梨実だって私は他の子に話していない悩みを伝えていたことも知っていたのに。全部無意味だったの」

 
この思い出話を壮矢にしても、心が死んだように涙すら出てこない。

むしろ淡々と話せてしまう自分が嫌になりそうだった。

「本音を言えようと、どんな悩みを明かそうと、信頼には関係ないんだなって思ったの。もちろん梨実が苦しみからついそう言ってしまったことも分かっている。でも立ち直れないくらいに傷ついたの。それから梨実とは距離が空いて、ついには話もしなくなった。あんなに大好きだった友達は案外簡単に無くなるんだなって思った。それで梨実から距離を起きたくて部活も途中でやめたの。部活すら楽しいと思えなくなっていたから」

過去を話し終えて、私は今度こそ壮矢の方に顔を向けた。ついぎこちない笑みを向けてしまう。

「それで、段々今みたいな性格になっていったの」