冬の光にヴェールは要らない

しかし、その後すぐに壮矢はもう一度私の顔を確認して笑った。

「良いことあったみたいだね」

そんなに私は嬉しそうな顔をしていただろうか。

梨実に会って泣いていたのに、杏香に気持ちをぶつけられて今は嬉しくなっている。

「ううん、壮矢が悪いことを良いことに変えてくれたの」

「え?」

私は不思議そうにしている壮矢を廊下の壁際に連れて行き、二人で壁に寄りかかるように並んだ。

「さっきね、中学の知り合いに会ったの。私が会いたくなかった子。それで泣いてしまった所を今の高校の友達に見られた」

壮矢は静かに私の話に集中していた。

「その友達はね、凄く良い子で。ずっと罪悪感があったの。私みたいな最低な人間が友達にならなければ、きっともっと良い子と友達になっていたんじゃないかって。私があの子の青春を奪っているじゃないかって」

それは自分を最低だと言い聞かせて、受け入れたふりをしていた本音。

「泣いている私の隣にその友達がいてくれても何も言えなかった。その時に壮矢の姿を偶然見つけたの。それだけで勇気が貰えた。……その子に私が最低なことを明かせたわけじゃない。でも、大好きだって伝えられた」