冬の光にヴェールは要らない

部活の大会ではないにしろ、午後の試合は本当に勝ててしまった。

すぐに杏香が私に近づいてきてくれる。そして、何故か両手を前に出した。

「……??」

「もう! 午後の試合に勝ったらハイタッチしよって言ったじゃん!」

私も両手を出すと、杏香が嬉しそうにハイタッチしてくれる。

杏香がタオルを取りに行っている間、私はつい周りを見渡してしまっていた。

先ほどまでは「梨実に会いたくなくて逃げるために周りを見渡していた」のに、今は「壮矢に会いたくて、壮矢を探してしまってる」
 
いま壮矢に合って何を話すというのだろう。

それでも前に進ませくれたのは……勇気をくれたのは壮矢だから。

つい何かを伝えたくなってしまう。

感謝とは違うような、自分が進めたことを報告したいような不思議な感覚だった。