冬の光にヴェールは要らない

コートから離れると、杏香が私を近くのベンチに座らせてくれる。

「大丈夫?」

そう聞いた杏香の顔には心配しか滲んでいなかった。

心から私を心配している顔だった。

そういえば、杏香の前で泣くのは初めてだったかもしれない。

梨実に会った、それだけのことで私は潰れかけていた。誤魔化すことも、梨実との関係性を言うこともせずに零れ落ちたのは弱音のような質問だった。

「ねぇ、杏香。私のこと好き?」

「……?? 好きだよ?」

当たり前に杏香がそう返すから、もう心の中を隠すことも出来ない。

「あの子は梨実っていう子で……梨実は悪い子じゃないの。本当に。でも……」

言葉が詰まって上手く話せない。涙が溢れ、嗚咽(おえつ)だけが漏れていく。そんな私の代わりに何故か杏香が話し始めた。