冬の光にヴェールは要らない

そしてタイミングなんて運命のようなもので、杏香がお手洗いから戻ってきてしまう。

「万桜の友達?」

そう聞いた杏香は私の顔を見て驚いた顔に変わる。

自分でも目に涙が浮かび始めていることを分かっていた。

そして杏香はどこまでも優しい子で、私を守るように私の前に立ってくれる。

「万桜、あの子誰。友達じゃないなら、もう行こう」

それは私に向けた言葉のようで、梨実に向けて言っていた。

初めて聞いた杏香の厳しい言葉だった。

その言葉に梨実も何も言えなくなっている。
 
杏香に腕を引っ張られながらコートから離れていく。

梨実はもう追いかけて来ていなかった。