冬の光にヴェールは要らない

壮矢が私の隣に座って、私の手を両手で包み込むように握った。

「万桜。どれだけだって期待して良いよ」

 その言葉に私はパッと顔を上げてしまった。壮矢が優しく微笑んでくれる。


「どれだけ期待しても良い。それでもし結果が望むものと違って失望したら、僕が慰めてあげる」


何も言えなかった。
 
静かに涙が溢れるスピードが上がっただけだった。

でも、それが全てで。涙が止まらなかった。止められるはずがなかった。

「ねぇ、万桜。僕のこと嫌い?」

私は気づいたら、首を振っていた。

「じゃあ、大丈夫だよ。僕ら」

壮矢は先ほどの私と拓人くんの会話を聞いていたのだろうか。

聞いていなかったのだろうか。

どちらかは分からないけれど……私は壮矢と目を合わせた。

「壮矢、私のこと嫌い?」

「嫌いなはずないだろ」

それは夜に部屋で話したわずかな時間の会話。

それでも、まだ夜なのに朝日が(のぼ)り始めているような感覚だった。

まだ世界を諦めるのは早いのかもしれない。