出がらし姫と蔑まれてきましたが、身代わりの嫁ぎ先で氷の帝王に溺愛されています。

騎士団長はすぐさま跪き頭を垂れた。

「王女殿下、ようこそいらっしゃいました。私は近衛騎士所属のジークハルトと申します。本日より殿下の護衛を務める栄誉をいただきました。力不足だとは思いますが、まずは帝都までよろしくお願いいたします」

「いえ、こちらこそ」

なお、エオストレ王国側の護衛騎士たちとはここでお別れとなる。

これはフロスト帝国側の要請でもあった。ラーラ以外のエオストレ王国人を帝国内に入れる気はないと。

つまり、ここから先は本当に一人だ。

エオストレ王国の護衛騎士たちが、深々と頭を垂れ、元来た道を引き返していく。

「……」

ラーラは彼らの背を見送り、近衛騎士団長の手を取った。

たちまち心臓が早鐘を打ち始める。

(私がお姉様の身代わりだってバレていないかしら。……ううん、それよりも期待外れだって思われていないかしら)

どれほど豪奢なドレスを身に纏おうと、化粧を念入りに施そうと、所詮は出がらし姫なのだ。クラウディアの華やかな美しさには及ぶべくもない。

近衛騎士団長に身代わりだと疑われてはいないか。

ところが、騎士団長は意外な反応を見せた。

「お聞きしていたとおり大層お美しい方だ」

目を細めてラーラを見つめる。

「えっ」