――このかつて大陸西方には東西南北に四ヶ国の列強国が君臨していた。
まず、ラーラの母国である「春の国」との呼ばれる東のエオストレ王国。続いて「秋の国」西のフレイヤ王国と「夏の国」南のソール王国。最後にもっとも強大で恐ろしいとされる「冬の国」、北方のフロスト帝国である。
四ヶ国の王族たちはそれぞれ春の女神、秋の女神、夏の女神、冬の男神の子孫だと言われている。そう、フロスト帝国の皇室の始祖だけが慈悲深い女神ではなく、厳しい冬さながらに冷酷で荒々しい気質の男神なのだ。
そのせいか代々の帝国の皇帝は皆戦好きで、約百年前ソール王国を、そしてほんの二十六年前フレイヤ王国を滅ぼしてしまった。
エオトストレ王国もフロスト帝国の侵攻を何度か受け、今までは辛うじて耐えてきたが、もう限界と言うところにまで来ていた。しかし、昨年先代の皇帝が崩御したことで、一時休戦の流れになったのだ。
ラーラもそうした国際事情についてはよく知っていた。いくら冷遇されているとはいえ、エオストレ王国の王女なのだから、王族の務めだと勉強していたのだ。しがない自分に何ができ、どうすべきなのかも毎日考えていた。
国王は言葉を続けた。
「あの野蛮国の皇帝は是が非でも春の女神の血を取り入れたいらしい。夏の国と秋の国を征服したところで、あの国は相変わらず凍てついたままだったようだな」
まず、ラーラの母国である「春の国」との呼ばれる東のエオストレ王国。続いて「秋の国」西のフレイヤ王国と「夏の国」南のソール王国。最後にもっとも強大で恐ろしいとされる「冬の国」、北方のフロスト帝国である。
四ヶ国の王族たちはそれぞれ春の女神、秋の女神、夏の女神、冬の男神の子孫だと言われている。そう、フロスト帝国の皇室の始祖だけが慈悲深い女神ではなく、厳しい冬さながらに冷酷で荒々しい気質の男神なのだ。
そのせいか代々の帝国の皇帝は皆戦好きで、約百年前ソール王国を、そしてほんの二十六年前フレイヤ王国を滅ぼしてしまった。
エオトストレ王国もフロスト帝国の侵攻を何度か受け、今までは辛うじて耐えてきたが、もう限界と言うところにまで来ていた。しかし、昨年先代の皇帝が崩御したことで、一時休戦の流れになったのだ。
ラーラもそうした国際事情についてはよく知っていた。いくら冷遇されているとはいえ、エオストレ王国の王女なのだから、王族の務めだと勉強していたのだ。しがない自分に何ができ、どうすべきなのかも毎日考えていた。
国王は言葉を続けた。
「あの野蛮国の皇帝は是が非でも春の女神の血を取り入れたいらしい。夏の国と秋の国を征服したところで、あの国は相変わらず凍てついたままだったようだな」

