世界最強の帝国だという知識はあったが、帝都がこれほどの規模だとは思わなかった。
エオストレ王国の王都も美しいが、こぢんまりとしており、この帝都には到底敵わない。
更にもう一つ気付いたことがあった。
どの建物にも必ず煙突がついていて、煙が立ち上っている。下町の平民向けの集合住宅にもだ。
つまり、どれほど貧しい家庭にも燃料が行き渡っているということになる。
騎士団長はラーラの視線を負い、何を捉えているのかすぐに気付いたらしい。
「我が国では最低限の食糧と燃料はすべて国が買い上げておりまして、不足の時にも常に一定価格で国民に行き渡る政策を採っております」
そのおかげで雪に閉ざされた国でありながら、飢え死にしたり、凍え死にしたりする国民はほとんどいないのだとか。
「それは素晴らしい政策ですね」
「はい。皇帝陛下ご自身が立案された政策です」
しかも、まだ皇子時代に立案した政策なのだとか、
「えっ、皇帝陛下が?」
氷の帝王などと恐れられているが、騎士団長から聞くイザークの印象は、冷酷な皇帝というよりはむしろ、民思いの知的かつ理性的な印象が強かった。
(やっぱり、噂を鵜呑みにしてはいけなかったんだわ。もしかすると、話し合いさえすれば理解してくださる方かもしれない)
一縷の希望を見つけ、ラーラは小さく頷いた。
(私自身が気に入られなくても、エオストレ王国の国民にだけは、なんの咎もいかないようにしなくては)
そして、その後間もなく氷の帝王イザークに面会したのだが――。
エオストレ王国の王都も美しいが、こぢんまりとしており、この帝都には到底敵わない。
更にもう一つ気付いたことがあった。
どの建物にも必ず煙突がついていて、煙が立ち上っている。下町の平民向けの集合住宅にもだ。
つまり、どれほど貧しい家庭にも燃料が行き渡っているということになる。
騎士団長はラーラの視線を負い、何を捉えているのかすぐに気付いたらしい。
「我が国では最低限の食糧と燃料はすべて国が買い上げておりまして、不足の時にも常に一定価格で国民に行き渡る政策を採っております」
そのおかげで雪に閉ざされた国でありながら、飢え死にしたり、凍え死にしたりする国民はほとんどいないのだとか。
「それは素晴らしい政策ですね」
「はい。皇帝陛下ご自身が立案された政策です」
しかも、まだ皇子時代に立案した政策なのだとか、
「えっ、皇帝陛下が?」
氷の帝王などと恐れられているが、騎士団長から聞くイザークの印象は、冷酷な皇帝というよりはむしろ、民思いの知的かつ理性的な印象が強かった。
(やっぱり、噂を鵜呑みにしてはいけなかったんだわ。もしかすると、話し合いさえすれば理解してくださる方かもしれない)
一縷の希望を見つけ、ラーラは小さく頷いた。
(私自身が気に入られなくても、エオストレ王国の国民にだけは、なんの咎もいかないようにしなくては)
そして、その後間もなく氷の帝王イザークに面会したのだが――。

