気まぐれ王子と召使い


俺以外を、見るから?


なに、その理由。



「お前が、俺を見ないで他のやつを見ようとするから、俺が、俺が正してあげないとって」


「仕方の無い事だったんだ。俺が、俺だけがお前を理解出来て、幸せに出来るから、だから、幸せになるために、俺はお前を……」



唇を震わせて、世那はくしゃりと顔を歪ませた。

どうして分かってくれないんだろうって、そんな子供みたいな顔だった。



「夕香里、夕香里……俺の気持ち、お前なら分かって受け止めてくれるだろ?全部お前の為にやったことなんだ」


「だから、俺のことを否定しないで、ずっと俺の傍に…」



弱々しく紡がれる言葉。

それでも、世那の声は私の心に届くことはない。


思い出したのは……あの時、気になってる人から受けた公開処刑にも似たような言葉だった。


『おえっ、きっしょ……お前みたいな根暗に好かれても気持ち悪ぃだけなんだけど』


クラスメイトからの嘲笑と、まるで気持ち悪い物を見るような眼差し。

私を"異物"かのように扱って、拒絶して、私を排除しようとしたあの空気が。

私に唯一寄り添ってくれた特別な人が作った空気だったんだ。