そんな私の思いを知ってか知らずか、世那はにっこりと笑みを深くさせると、私の肩を抱き寄せ頭を優しく撫でて見せた。
「でも心配すんなよ、俺が全部解決したから。お前らが何も知らずのうのうと生きてる中、俺はコイツを救ってやったんだ」
「……そっか、良かった。解決したなら……夕香里……ごめんね。ちゃんと気づいてあげられなくて…」
「いいよ、全然。こんなの大丈夫だから…」
同情が色濃く混じった視線から逃げるように下を向いてヘラヘラと笑う。
恥ずかしい。恥ずかしすぎて、死にたくなる。
どうしてこう私はいつまで経っても舐められてぞんざいに扱われる立場なんだろう。
中学の時からなにも成長出来てない。
世那が居ないとまともに生きることも出来ないんだ。
「な?だから、お前の出番は無いの。俺と下僕は今けっこー幸せなんだからさ、知人ヅラでいちいち絡まれんの迷惑だから」
突き刺すような鋭い視線に、琥珀君は真剣に正面から受け止めた。
そして、ゆっくり目を閉じると「……二人が幸せなら、それで良いよ」と小さく息を吐いた。
「でも、忘れないでね。辛いことがあったら、ちゃんと辛いって言うんだよ。抱え込む事だけはしないって約束して欲しいんだ」
切実な琥珀君の願いが心の中に溶け込んでいくようだった。
世那の方をチラリと見つめると、小馬鹿にしたようにクツクツと笑い、言葉を吐き捨てた。
「辛いことなんてあるわけないだろ?コイツは俺が居ればそれで幸せなんだよ」
すり、と私の頭に頬を擦り寄せ蕩けた顔を見せた。
行くぞ、と世那に手を引かれその場を後にする。
琥珀君の心配そうな視線だけが、私の心残りだった。



