世那が戻ってきたのは授業が全て終わってから。
気まずそうな私を気にした様子もなく「帰るぞ」と言う世那に酷く安心して泣きそうになる。
さっきまでは世那と離れたいとか抜かしてたのに、世那が私に声をかけてくれるだけで私は救われた気持ちになるんだ。
離れた方が良いに決まってるって、そんなこと分かってる。
世那に依存して生きていくのは健全じゃないし、良くないことだって。
でも、離れられたらこんな苦労はしない。
「…………」
「?なにしてんだよ、さっさと帰るぞ」
「今日は、一人で帰るよ……」
ボソリと言った言葉に、世那は苛立たしげに「は?」と言葉を投げかけた。
「なんだよ、誘ってやってんのに」
「……ごめん」
「つーか、なんで今日俺のこと探しに来なかったんだよ?一人で昼過ごしたのか?」
「うん」
嘘をついた。
だって、本当のことを言ったら更に私自身が無くなってしまいそうな気がしたから。
「一人でいる度胸もないお前が?」
私の言葉を鼻で笑い、ジロリと私を見つめる世那。
世那のいやに透き通った目が今は見たくなかった。
見たら、全てバレてしまいそうで。
ゆっくりと世那から視線を逸らす私に、世那は、はぁ、とため息をついた。
「もういいわ、好きにしろよ」
鞄を持ち荒々しく教室を出ていく世那に、残っていたクラスの人は皆ヒソヒソと話している。
そして、私にも視線が向いた。
異物を見るような目で、私をジッと眺めて、またなにかを話す人達。
クラスの空気感を肌で感じて、私は確信した。
また、"あの空気"になったって。
震える手で鞄を持ち、逃げるように教室を出た。



