気まぐれ王子と召使い



あれ、ノートがない。


朝、鞄の中に入れたはずのノートが無かった。


「どうした山吹?」


授業中、先生に当てられて慌ててノートを出そうとした時、それはどこにも無かった。


「す、すみません、忘れました……」


クスクスと聞こえる笑い声。

ノートを忘れた私を茶化す声ではない。
まるで"私の不幸を小馬鹿にする"ような、そんな嫌な笑い声だった。

ダラダラと冷や汗が流れだす。

クラスで話されている会話全てが私への悪口のように聞こえて、真っ直ぐ机を見ることしか出来なかった。


別に、ただノートを忘れたことを笑われただけじゃないか。

気にしすぎだって自分に言い聞かせても、中学の時の嫌な記憶を思い出して息が詰まりそうだった。