気まぐれ王子と召使い


「アンタなんでこっちのクラス来てんのよ」


「ちょ、ちょっと色々ありまして…」


じとっとした目で水瀬ちゃんに見られ、曖昧に笑う。

結局、世那とはまともに会話出来ないまま昼休みを迎えてしまった私は、最終手段として5組にお邪魔させてもらってる。


「山吹、お前彼氏はどうしたんだよ」


含み笑いを浮かべながら意地悪げに聞く真堂にムッとくる。
完全に揶揄ってるんだ。


「だから彼氏じゃないって!世那さんはサボってどっか行っちゃったから…」


「はは!相変わらずだなぁ、世那は」


ニコニコと楽しそうに笑う甲斐君にホッとしたような、複雑なような、なんとも言えない気持ちを抱いてしまう。

甲斐君は世那と喧嘩してからは5組で食べてるようだけど、甲斐君の性格なら皆からも愛されているだろう。

でも、私達が居なくても大丈夫って言うのがありありと伝わってきて勝手に悲しくなってる自分が嫌になる。



「でもさ、夕香里ちゃんが黙ってここのクラス来てたらきっと世那怒ると思うんだけどなぁ…」


「それは、そうだね」


「はぁ?恋人でもなんでもないくせに超束縛してくんじゃんあいつー。超キモくない?」


「違うって水瀬!世那は夕香里ちゃんが特別なんだよ、なぁ、夕香里ちゃん?」



悪意なく私に聞いてくる甲斐君に照れながらも「そうかな〜」なんて適当に流す。

そんな小っ恥ずかしいことを私に言わせないで欲しいと思いつつも、特別という言葉にはいささか疑問が残ってしまう。

特別の定義がどう言うことかは知らないけど"そういうこと"をしてる関係性の方がよっぽど特別に思えるけどなぁ。