気まぐれ王子と召使い


「おーい、大丈夫か〜?」


ひょこっと、洗面所の扉から顔を出す世那にグッジョブと親指を立てて見せる。

潮干狩りも終わり、今は世那の家に行って希望通りのあさり料理を作っているところだ。



「調子乗って火傷すんなよ」


「世那さん……私を誰だと思ってるんですか?シェフですよシェフ。山吹シェフの気まぐれあさり料理…、」


「だから鍋溢れてるって!」



あ。

世那に指摘されて慌てて火加減を調整する。



「よそ見すんなっつってんだろ!」


「そ、そんなに怒らなくても……」


「お前は人一倍鈍いんだから、火元に近い時は気使えよ」



返す言葉もない。

心配そうに頭をタオルで拭きながらこちらに近寄る世那。
お風呂上がりの世那はいつにも増して良い匂いがする。