「し、信じられないよ……移動するのは良いけど、せめてバケツ持って移動してよ…」
「あー?だから忘れてたっつってんだろ、いつまでもグチグチ言うなよ」
「……………」
ガッカリだ。
別に置いてきた事にガッカリしてるんじゃない。
ここまで言われても私に悪かったと言わない世那の意地の悪さにガッカリしてるんだ。
「……もう、良いもん……」
「あ?」
「潮干狩り……張り切って準備したのに…」
はぁ、と溜息をつくと、世那は途端に態度を一変して私の方に歩み寄ってきた。
「……なんだよ、そんな落ち込むことないだろ?」
「落ち込むことないって……1時間半だよ?それが知らない奴に横取りされるって…」
「…………あーもー……悪かったって。だからそんなしょげるなよ」
やっとだ。
ここまでしてやっと世那から"悪かった"と言う言葉を聞くことが出来た。



