気まぐれ王子と召使い



「……あれ?世那は……」


容器にパンパンに詰め込まれた焼きそばを持って先程居た場所に行くも、世那の姿が見当たらない。

ついでに私が一生懸命取った大量のアサリが入ったバケツも無い。


(え?まさか本当に飽きてどっか行っちゃった?)


なんだか嫌な予感がして背筋がひんやりとすると、なにやら別の場所で女の子のキャッキャっとした声が聞こえる。



「お兄さん今一人なのー?」


「''今は"一人だけどー」


「良かったら私達と一緒に泳ぎませんかー?ていうか、お兄さんもしかしてモデルとかやってる?」


「別にぃ」



居た。あれは間違いなく世那だ。

ここから少し離れた所で、二人組の女の子から所謂"逆ナン"を受けているみたいだ。
別にそれはいつもの事だ。今日に限ったことじゃない。

問題は、アサリが入ったバケツが世那の近くに見当たらないという事だ。


(え、うそ……)


まさか放置して誰かに取られたんじゃ。

そう思うと居てもたってもいられず、私が出せる全速力で世那の元へと駆けつけた。