それは、世那に頼まれ焼きそばの屋台で並んでいる時の出来事だった。
「……お前、山吹か?」
焼きそばを一つ注文して大人しく作るのを待っている時のこと。
タオルを頭に巻いて焼きそばを焼いている目の前の青年が、訝しげに私に声をかけてきた。
「……えっ?だ、誰ですか……?」
「あ?まさか忘れてんのかよ」
ありえねぇ、と不機嫌そうに小さな声で告げられ慌てて目の前の青年をジッと見つめてみる。
(……あ!!!)
「うっ、ううううさ!ううさみっ、」
「どんだけビビってんだよ。そーだよ、宇佐見だよ」
チラリと鋭い眼光で私を見つめる彼は、間違いなくあの宇佐見 玲央だ。
(ななななんで宇佐見君がここに……!)
高校に入ってからは一回も話したことが無かったから、まさかこんな所でばったり会うとは思わなかった。
耳に何個もついたピアスに、襟足の長いウルフカットの黒髪。
そして、この鋭い眼光。
どっからどう見ても不良のような出で立ちの彼が中学の時からどうも苦手だった。



