世那は潮干狩りをする私をしばらくジッと見つめていたが、すぐに飽きたのか「なぁなぁ」と私の背中をツンツンと指で押してきた。
「どうしましたか世那さん」
「飽きねーのそれ」
「結構楽しいよ?コツコツやるの意外と好きだからさ」
「ふぅん、地味なやつ」
そう言って世那は私の顔をぼんやりと横から覗き込んだ。
……気が散るったらない。
世那のせいで周りからは好奇の目で見られているのがヒシヒシと伝わる。
手伝わないなら海にでも潜ってくれば良いのに。
「…あの、私のことは気にしないで泳いできて良いよ?」
「お前のこと気にしてんじゃねーよ。俺一人だと色んな女に声掛けられるから面倒なんだよ」
「それは確かにそうかもしれないけど…」
「あ、そーだ。腹減ったから焼きそばでも買ってこいよ。俺があさり取っといてやるから」
そう言って世那は荷物を漁りながら財布から千円を取り出した。
それこそ自分で買ってくれば良いのにと思わなくもないが、世那が言ってるように声を掛けられるのが嫌という理由ならしょうがない気もしてくる。
今日一日世那の言う通りにし続けるのもなんとなく癪だが、無理に逆らって良いことなど一つもないので「分かったよ」と渋々頷く。
(絶対潮干狩りなんてすぐ飽きるよ〜……)
頼むからあさりとハマグリが入ったバケツを置きっぱなしでどこかに行かないで欲しいと心の中で願った。



