気まぐれ王子と召使い



キャー!と黄色い声が聞こえる横で熊手を使いながら夢中で砂地をかく。

当初の予定通り私は潮干狩りをして、世那は海を満喫しているみたいだけど、遠くからは海を楽しむ若者の声がよく聞こえてくる。


(世那は今頃ナンパされてるんだろうなー)


世那とどこかに出掛けると必ずと言っていいほど声をかけられる。世那が。

私なんて蚊帳の外という風に皆は世那だけをキラキラとした目で見つめているんだ。



「おうおう、いい調子かー?」



ざっざっと砂地をかいていると、被っていた麦わら帽子を後ろから世那にひったくられる。

ついさっきまで泳いでいたのか、身体からは水が滴り、いつもと違い髪をかきあげているようだった。


「うん、順調だよ。あ、ほら見て!こんなにハマグリも見つけたんだよー」


「お!でかしたぞ下僕!」



そう言って世那はニコニコと楽しそうに私の頭を乱雑に撫でた。

こんなに楽しそうな世那は久しぶりだなぁなんて思いながらも、視線のやり場に困って下を向きながら曖昧に笑う。

細身だけどうっすらと割れた白い腹筋はあまりにも目の毒だ。

ここまで顔が良くてスタイルも良いとなったら、声を掛ける子が居るのも無理は無いだろう。