気まぐれ王子と召使い

甲斐君の煮えたぎらない様子に勘弁したのか、世那は渋々といった様子で口を開いた。


「……なにが駄目っつーか、お前ってよく"善意を盾にしてる"よな」


「……善意を、盾に?」


「そー。善意でやった事なら全部許されるって心の底で思ってんだろ。だから、俺に許可も取らないであんな女連れて来たりしたんだ」


「……無意識のうちにそう思ってんのかな、俺って……」


「お前は無意識じゃねーよ?意識的にやってんだよ。"善意でやったてい"にしてるだけ。須藤に俺を紹介したのも俺を出汁にして須藤に気に入られる為だろ」


「せ、世那!そんなこと甲斐君は思ってないよ!」


「なんで関係ないお前にそんな事分かんだよ?…なぁ、なんとか言えよバカ頭。コイツの擁護がなきゃなんも言えねーのか」



世那は眉間に皺を寄せ、淡々と甲斐君に言葉を浴びせていく。

甲斐君は、俯いたまま黙って拳を握っていた。



「お前って中途半端なんだよ。馬鹿な癖に人を出汁にして女に気に入られようとしてんじゃねーよ。出汁にすんならするで、もっと堂々としろよ。なにいっちょ前に善意で隠そうとしてんだよ」


「…………」


「俺はその馬鹿すぎる所に呆れただけでそれ以上の事はなんにも思ってねーよ。ていうか、さっきも言った通りお前に期待なんて元々してないし」


「………………」


「……なぁ、聞いてんのかよ」


「…………………」


「てめえ、黙ってねーでなんとか言えよ!!」



ガンッ!!と辺りに鈍い大きな音がこだまする。

ベンチを思い切り蹴りあげた世那に反射的にビクッと肩を揺らしてしまう。